子供たちが考えたことの記録
祖父のもみじ坂     矢部中2年   原島 春花
 
 「矢部村には自然はほとんど無い」という人もいるそうです。私の住んでいる矢部村には、たくさんの生き物やたくさんの山があります。それなのに何故かなと思いました。

 「自然」という言葉を辞典で調べてみると、(山、川、草、木など。人が作ったものではない物)でした。矢部村は木がいっぱい生えて自然がいっぱいだと言えますが、人が木を植えて人の手で作った矢部村の山は、本当は自然ではないとも言えるんだと思いました。矢部村の山のほとんどが杉です。他の木は、杉に比べれば、ほんの少しです。


 母が、
「矢部は山の緑がいっぱいできれいやけど、人が植えて、商売に使う杉ばっかりやんね。日向神ダムの千本桜は人が植えた木やけど、春になったらピンクでえらいきれいやろ。でも過ぎは一年中変わらんね」
私は、山の中に住んでいて、周りは見渡す限り山ですが、紅葉するようなきれいな木はあまりありませんでした。もっとイチョウやモミジとかあるときれいだろうなと思いました。


 私の家から学校までの通学路は、約4キロメートルほどあります。そのうち、いえからの1キロメートルくらいは急な坂で、周りにはたくさんの杉の木と谷川しかありません。


 ある日、私が中学校から帰っている時、その坂の谷川の向こう側の杉山に、私の祖父がいるのを見ました。あんなところで何をしているのかなと思い、帰って母に聞いてみました。
「あれはね、モミジば植えようらすとよ」
母は言いました。
 
 
 私は祖父がモミジを植えていることを始めて知りました。見に行ってみると、まだ私より小さいモミジの木が、谷川の向こう側に一本ずつ谷川に沿って植えられていました。祖父は、谷川が整備された二年ほど前から、山からモミジの苗木を見つけてきて、植えていったそうです。


 私は、なんでモミジを植えているんだろうと思って、今度は祖父に聞いてみました。
「あれはね、山が杉ばっかりやけん、モミジば植えてもっと山がきれいになるようにたい。上からだんだん下に植えていきようるたい。まだ小さかばってん、大きくなったらたぶんきれいかばい。」
と、祖父は言いました。


 私は、それはいい考えだと思いました。今は小さくて目立たないけれど、何十年もして私が大人になる頃には、あの杉しかない坂道も、道沿いにもみじが赤く紅葉して、きれいだろうなと思いました。


 水がきれいだとか、緑がきれいだとか、桜がきれいだとか、矢部村のいいところはたくさんあるけれど、「紅葉がとてもきれいな矢部村」にもなるといいなと思います。だから、私も祖父のもみじを大切に見守っていきたいと思います。


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