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山の大家族 10月   読売新聞(夕刊)連載7回目 2004/10/15


お茶召し上がれ

 村のあちこちでコスモスや傍の花が、ひんやりとした風に揺れ、しみじみとお茶を味わう季節になりました。

 普段は郵便宅配でお茶を届けている私たちも、福岡市天神のビルの谷間で、年に一、二度催される村の特産品販売のイベントに参加して、八女茶のPRをしています。

 右手に急須、左手にはお盆に載せたカップ。エプロン姿になって、忙しそうな足取りのサラリーマンや若い女性の方たちに、声をかけると、二、三十人に一人くらいは足を止め、私たちのテントをのぞいてくれます。

 「おいしく入れますので、一分間待ってくださいね」。最初は、この都会で一分間が長く思われるのか、ちょっと不満気な表情です。しかし、緑茶もウーロン茶も紅茶も、製法がが違うだけで、みんな同じお茶の葉っぱからできること、さらに殺菌、消臭作用があり、健康や美容にも良い飲み物であることなどと会話が弾むむうちに、はじめてあった人もだんだん和やかな表情になってきます。

 「いい香り」「甘くてまろやか」「もっと濃くて渋いほうがすき」。すっかりくつろいで、感想もさまざまです。

 昔から、「お茶の間」「日常茶飯事」「お茶をにごす」などの言葉もあるように、お茶は日本人の生活に深く関わってきました。これからも、積極的に多くの人と触れ合って、深山の香りやお茶の文化を伝えていきたいと思います。
                            (政)

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お茶・八女茶の産直 お茶の千代乃園