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山の大家族 9月   読売新聞(夕刊)連載6回目  2004/9/17


みん見守る ひいばあちゃん

 「ひいばあちゃん、機嫌はどうね」

 週一回、村内の特別養護老人ホームに入所している祖母カズエを母が見舞う日です。寝たきりになってしまいましたが、今日はつまや三女も一緒。女四世代が顔を合わせ、何を話しているのでしょうか?

 入所したのは三年前。当初はお見舞いに来た長男にも、顔を見るなり、「一生懸命頑張って勉強せやん。まだ間に合うけん」と言ったので、勉強が嫌いな長男のことを「いつも見ようるごたるね」と皆で笑ったものでした。

 最近は核家族化が進んでいますが、祖母が入所するまでは、我が家は地区でも珍しい四世代同居の家族でした。私が小さいころ、何かと口やかましく、注意するのは母で時々ガツンと起こるのが父。祖父母から怒られた思い出はあまりなく、いつもほめてくれたり、昔話などを聞かせてくれました。

 家族という、一番小さな社会の中にも、ルールと一人ひとりの役割があるように思います。そして、それを守りつつ無理をしないことが、家族のバランスを保ち、全体がうまく機能していくのだと思います。

 家族の歴史を見てきた祖母。少しだけ離れて暮らしていますが、ここにこうして居るだけで、ちゃんとみんなを見てくれている、という安心感を与えてくれます。
                            (政)

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